うつゆみこ展 「ひととり」

うつゆみこ展
「ひととり」
2021年3月12日(金)〜3月24日(水)

関連イベント
※作家在廊中、3000円でバストアップのポートレート撮影(作家在廊日時はTwitterをご覧ください)
→@utsuyumiko
時間は15分程度、背景布、衣装、小物をお選び頂けます。データで全カットお渡し致します。


私は17の時から25年間写真を撮り続けている。被写体は動植物、おもちゃなど、物がほとんどだ。若い時は人を撮っていた時期もあったが、自分の思い通りになりにくい人を撮影するのを、面倒臭がってずっと避けてきた。
今回人物を久々に撮ったのには3つのきっかけがある。
まず、自分の中の閉塞感。
私は生き物、植物、鉱物など、自然の産物に畏敬の念を抱き、日頃撮影のモチーフにしている。自然は、どうにか接触したい物、取り込みたい物で溢れている。私はそれらに向き合っているだけで幸せで、永遠に撮り続けていられると思う。しかし、似た撮り方をしているなと思うことが近頃増えているのは否めない。人に作品を見せ続けて、写真を生活の糧と出来る位にするとなると、変化が必要な事も分かっている。物撮りの仕事はごくたまにしかない。
人物ならば仕事をもう少し得られるのではと考えた。それに私が撮り続けている大きな理由に、Spitzの草野マサムネさんを撮りたいというミーハー心がずっとある。人を撮らない事には話にならないのではないか…。
次に、Bar星男の櫻田宗久さんの言葉。
写真展にどんな作品を展示するか櫻田さんと話していた時、「ウツさんが人撮ったら面白そ〜!」とニコニコ顔で言って下さった。星男さんなら肩肘張った展示にはならず、新しいことを試すのにはもってこいだ。場所柄、今まで撮影をしたことがなかった男性の体を展示するのにもぴったりだ。
最後に、昨年知り合い、撮影した方の言葉。
私の写真展を面白がって頂き、依頼され彼の撮影をした。モデルにする方は、元々美しい、面白い、撮影され慣れている方を撮れば悩まず楽だろうが、彼は違った。私は選んでいないし、見た目も地味だ。しかし私が考えたセッティングで撮っていると、ふと化ける瞬間がある。それを探して逃さないようにシャッターを押すのはスリリングで、上手くいくと快感が走った。その後も何度か話している内に、彼は私を鼓舞する発言をするようになった。
母親だからと言い訳をせずにもっと頑張れるはずと言われ、乗せられて出来る気になり、自分一人の意思では頼めなかったであろう方にもモデルをして頂き、結果自分にとって新しい写真を撮ることが出来た。だが写真に時間を割き過ぎ、子供と遊ぶ時間が減り、毎日子供に叱られ、子育てとの両立の難しさにあたらめて気付かされた。
(展示が終わったら子供とたんまり遊ぶ。)
あまり動かない物を撮る時は、私がある程度コントロール出来るので、撮影時の興奮は少ない。生物を撮る時には確かに興奮があり、私はそれで足りていると思っていた。だが人は更に不確実で、自分の想像を超える提案をくれ、私以外の人の意思が混ざり一緒に作り上げるのを、とても新鮮に、豊かに感じた。
撮影前には、一緒に写りたい物を伺い、じっくりその人の事を考えて、合わせるモチーフ、衣装、背景布やロケーションを探し準備を整えるが、全てを決めることはしない。撮影の当日に、顔を突き合わせながら話し合い撮影していく。自分がこんなに人と関係出来るとは今まで思っていなかったので、病みつきになりそうだ…。
『ひととり』は人を撮るという意味で思いついたが、人を捕えて食ったりする怪物という意味もある。私は写真を撮り発表することで人を食う怪物になってはいないか、まだ慣れずに不安があるが、面白い怪物になら、是非ともなってみたいものだ。

BAR星男
東京都新宿区新宿2-6-8小沢ビル1F
TEL 03-5379-6066
ランチ
月〜金
11:30〜14:30
カフェタイム(うつゆみこ展開催中)
13時〜17時
13時〜18時
バータイム
月曜日〜土曜日
17時〜20時
日曜日
18時〜20時
※ランチタイム:1オーダー
※バータイム:チャージ+1dオーダー

星男 新宿2丁目Art bar

アート&ミュージックbar星男。星男のキャラクターでもある星男くんは宇野亜喜良氏デザイン。 毎月、前半、後半と分けて2組のアーティストによる展示を開催しています。 スタッフも美術家、写真家、音楽家など様々なアートの世界で活動中です。 ジェンダーやセクシャリティーに捉われずアートを通じて様々な境界線を超えた関係が作れ、アートやアーティストを身近に感じられる場所作りを目指しています。

0コメント

  • 1000 / 1000